Argoデジタル

2026-09-24

情シスをアウトソースするとき——常駐・非常駐の違いと、社内に残す仕事

Argora編集部

情シスのアウトソースには常駐型と非常駐型の二形態がある。中小企業がひとり情シスの業務を外に出すとき、どちらを選ぶか、何を社内に残すかで成否が分かれる。

情シスアウトソースの二形態——常駐と非常駐

中小企業が「情シスを外に出す」と決めたとき、最初に直面する分岐点が常駐型か非常駐型かという選択だ。どちらも情シス機能を外部に委ねる形だが、担当者が自社に来るかどうかで、対応できる業務の幅が大きく変わってくる。

常駐型は、外部の担当者が週2〜5日など定期的に訪問する形式。端末の物理交換、入退館システムの設定、新入社員のPCセットアップなど、「その場にいなければできない作業」が日常的にある会社に向く。特にオフィスに機器が集中している製造業や小売業では、現実的な選択肢になる。

非常駐型は、電話・チャット・リモートアクセスを軸に対応する形式。SaaSのライセンス管理やアカウント設定など、クラウド化が進んだ業務環境ではリモートでカバーできる範囲が広がっている。拠点が複数あるか、もともとリモートワーク中心の会社なら、非常駐の方が実態に合っていることが多い。

コスト面では常駐型の方が割高になりやすい。選ぶ前に「現物対応が月に何件あるか」を洗い出すことが、余分な費用を防ぐ第一歩になる。

外に出せる業務・出せない業務

情シス担当者が日々こなしている業務は、性質から見ると三層に整理できる。

  1. 定型運用——ヘルプデスク対応、アカウント作成・削除、バックアップ確認、端末設定・管理など。手順化しやすく、外部に移しやすい業務群だ。
  2. プロジェクト支援——新しいシステム導入の窓口対応、ベンダーとの仕様調整、移行テストの確認など。外部主体で進められるが、社内担当者が承認者として残ることが条件になる。
  3. 社内調整・優先判断——「どの部署の問題を先に解くか」「IT予算をどの課題に充てるか」といった判断。経営方針や社内の実情と絡む領域で、外部には委ねにくい。

外に出せるのは主に1と、2の一部だ。3を社内に残す前提で設計しないと、委託先がいくら優秀でも「何から手をつけてほしいかが決められない」という状態に陥る。発注側の意思決定が空洞になると、外部委託はむしろ混乱の温床になる。

システム開発を内製か外注かで迷うときでも同じ構造が現れるが、情シス機能のアウトソースでは「判断する役割」と「実行する役割」の分離が特に見落とされやすい。

外部に何かを任せるとき、決定権は社内に置く——この原則は、規模の大小にかかわらず変わらない。

選び方の基準——三つの確認事項

常駐か非常駐か、あるいはどこまでを委託するかは、以下の三点を確認することで絞り込みやすくなる。

  • 現物対応の頻度:ハード故障やオフィス機器の交換・設定が月に何件あるかを数える。多ければ常駐型を、少なければ非常駐型を基準として検討し始めると判断がしやすい。
  • 専任担当の有無:完全に情シスがいない会社なら、まず非常駐から入り、必要に応じて範囲を広げていく方が費用対効果を確かめながら進められる。
  • 相談機能への期待:作業委託だけでなく、IT方針の整理や社内への説明まで一緒に担ってほしい場合は、DX伴走支援のような関与の深い形も候補に加わる。

なお、基幹システムの刷新など規模の大きな変更を検討している段階では、日常的な情シスアウトソースとは別軸で考えた方がよい。基幹システム刷新でコンサルを使うかどうかは、また別の問いになる。

「ひとり情シスを外に出す」という判断が失敗するとき、多くの場合は「何を残すか」を決めないまま契約に進んでいる。どこまでを外部に任せ、どこを自社の判断として持ち続けるか——その線引きこそが、アウトソースを機能させる最初の仕事だ。

FAQ

よくある質問

中小企業の情シスアウトソースはどんな会社に向いていますか

ひとり情シスか兼務状態の会社が向いている。ヘルプデスク対応や端末管理に追われ、IT企画に手が回らない状況が典型的なサインです。

情シスの常駐アウトソースと非常駐アウトソースはどう選べばよいですか

現物対応の頻度で判断するのが基本です。ハード交換や機器設定が多く発生するなら常駐型を、クラウド中心・リモートワーク環境なら非常駐型が合いやすい。

情シスをアウトソースしても社内に残すべき仕事はありますか

社内調整と優先順位の判断は必ず残す必要があります。どの部署の課題を先に解くかは経営判断に近く、外部には委ねられません。