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Argoデジタル

2026-09-17

「行かなければ進まない」を変える——移動コスト削減DXの事例と効果

Argora編集部

商談・承認・現場確認のために「移動」が必要だったプロセスは、DXの主要な対象になる。導入前後の変化を具体的に整理し、移動時間を削減した先に何が生まれるかを考える。

商談のために片道1時間かけて客先に向かう。承認のために不在の上長を探して社内を歩き回る。設備の状態を確認するために毎朝拠点を巡回する。これらはいずれも「移動」が手段になっている業務だ。目的は商談の成立であり、決裁の完了であり、現場の状態把握にすぎない。

移動コストとは、交通費だけを指すのではない。移動に費やされた時間、移動できない状況での判断の遅延、そして移動が起点になる機会損失も含む。「5分の入力」が組織では一年分になる——マイクロ業務の累積コストを可視化するで触れたように、目に見えにくいコストほど、組織の中に積み重なりやすい。

移動コストはどこに潜んでいるか

移動コストを分解すると、主に次の3領域に集中している。

  • 商談・営業の移動: 顧客先訪問に伴う移動時間と、1日に対応できる商談件数の物理的な上限
  • 承認・決裁の移動: 稟議書の紙回覧や、印鑑のために担当者を探す社内の「動き」
  • 現場・拠点の確認移動: 設備状態や在庫、現場の様子を把握するための定期巡回

どの領域も、移動そのものが目的ではない。にもかかわらず、「これまでそうしてきた」という慣習が、移動を必要条件のように見せてしまっている。

移動そのものを目的と混同したとき、コスト削減の議論は的を外れる。行くべき訪問と、行かなくていい確認を区別することが、移動コスト削減DXの出発点だ。

3つの領域で見る、移動削減DXの事例

商談・営業訪問のオンライン化

オンライン会議ツールを使った商談では、移動時間がなくなることで、同じ稼働時間内に対応できる商談件数が増える。スライドや資料をリアルタイムで共有しやすくなり、提案の質が上がるケースもある。

導入前は、1件の商談に移動往復の時間が加算され、1日の対応件数に物理的な上限が生まれる。導入後は、その移動時間がそのまま別の商談や提案作成の時間に転換できる。ただし、初回訪問や関係構築の局面では対面が有効なケースも多い。全件をオンラインに置き換えるのではなく、顧客やフェーズによって使い分けることが現実的な運用になる。

承認・決裁のワークフロー化

クラウド型のワークフローシステムを導入すると、承認者はスマートフォンやPCからいつでも決裁できる。出張中や在宅勤務中でもプロセスが止まらないため、承認待ちによる業務停滞が減る。

  1. 申請者がフォームに入力し、設定されたルートに従って自動で承認依頼が届く
  2. 承認者はメール通知またはアプリから内容を確認し、その場で承認・差し戻しを行う
  3. 完了後の記録がシステム上に残り、紙の保管・検索が不要になる

電子署名サービスと組み合わせると、顧客との契約締結も来社不要になる。押印のために日程調整していた手間がなくなり、契約締結のリードタイムが短縮される。

現場・拠点確認のリモートモニタリング

IoTセンサーやカメラを活用したリモートモニタリングでは、設備の稼働状態や温度、在庫量をリアルタイムで把握できる。導入前は担当者が定期的に現地へ足を運び、目視で状態を確認していた。導入後は平常時を画面で把握し、閾値を超えた場合のみ現地に向かう運用になる。すべての移動をなくすのではなく、「定期確認のための移動」と「異常対応のための移動」を分離することで、移動の目的が明確になる。

削減効果を活かすために必要なこと

移動が減っても、空いたリソースが別の非効率に吸収されては効果が出ない。「移動が減った後、その時間を何に使うか」をあらかじめ設計しておくことが重要だ。商談件数を増やすのか、関係構築の質に集中するのか、他の業務改善に充てるのかは、事業の優先順位によって異なる。

また、事業を変えようとしたとき、システムが壁になる——IT柔軟性と経営の自由度でも触れられているように、既存システムとの連携がとれないと、ツールを入れても業務フローが変わらないという状況が生まれやすい。新しいツールを導入する前に、現在のフローのどこに「移動を前提にした設計」が残っているかを整理しておくことが先決だ。

移動コスト削減のDX導入を検討する際は、現状の業務整理から始める伴走支援が有効な場面も多い。しぼる(DX伴走支援)では、現場の実態を踏まえた優先順位の設計から支援している。

FAQ

よくある質問

移動コストを削減するDXにはどんな事例がありますか

商談のオンライン化、電子署名やクラウドワークフローによる承認プロセスの変更、IoTセンサーを使った現場のリモートモニタリングが代表的な3事例です。

移動コスト削減DXを導入すると具体的にどんな効果がありますか

移動時間が商談件数の増加や提案の質向上に転換でき、承認の待ち時間短縮によって意思決定スピードが上がる傾向があります。

小規模な事業者でも移動コスト削減のDXを導入できますか

できます。クラウド型のオンライン商談ツールや電子署名サービスは初期費用を抑えて始められるものが多く、小さな範囲から試すことが可能です。